ノミネートNo.010

タイトル:「氷魔法」

 

作者:久保 綾香

(HAL大阪 ゲームデザイン学科 3年)

エフェクトデザイナー志望です。ファンタジー系ゲームのエフェクトが特に好きで、昔からよく気に入ったキャラクターの魔法の一番格好良い瞬間と角度を探して遊んでいました。今回のコンテストのお題が攻撃魔法なのでとても楽しく制作しました。

作品コメント

小魔法は氷の礫が割れる、澄んだ高い音が鳴るような魔法です。
中魔法は氷に風の属性を足しました。寒さや荒涼さをイメージされるように素材をシンプルに抑えました。
大魔法は氷柱と氷の剣が次々と降ってくる魔法です。氷柱や氷塊の割れ方に特にこだわり、大魔法の爽快感が出るよう大剣から爆発への勢いを大事にしました。氷の割れる音が好きなので、視覚から音を連想されるようということを第一に考えました。小魔法は拡散、中魔法は旋回、大魔法は落下と、それぞれに異なるメインの動きを付けています。戦闘中でもひと目で印象に残りやすく、また行動の邪魔をしない流れの良い魔法を目指しました。

 

 

審査員コメント

総評:

キレイ、丁寧、スキがない。率直な感想です。エミッタ/メッシュ/テクスチャなどエフェクト構成要素が全体的に上手だからだと思います。テクスチャは魔法陣、地面亀裂 氷破片など、単体ではよくあるものですがキチンと描いて組み合わせて足し算以上の結果になっています。色使いが上品です。緑~青の範囲で退屈しないように配色して、画面がぺったりしないようになっているし、緑へ寄せた冷気コア表現など物の冷たさに超自然的雰囲気を合わせた魅力が備わってます。演出構成とテンポ、緩急と余韻の残し方がすごいです。動作のつじつまが合っていて無理やり感がゼロなこと。もう少し見たいギリギリの尺での焦らし、何度見ても新しい発見があるんです。渋い作りだなあと感心。
大人な演出とエフェクトの存在感、なんか正座してみないといけないような気にさせる、静粛な空間がこのエフェクトにはあります。一点、背景を明るくするとつぶれてしまう要素が多いので、もう少し視認性を確保する仕込みがあるといいですね。

S:

ごくシンプルですが、フラッシュを複数部品で構成していたり、破片飛散の処理が物理的でつまらない印象がなく上手に仕上がっていると思います。

M:

地面から演出がふわっと出現してくるところや地面がほのかにグローしていたり、やさしく丁寧に制作出来てます。竜巻エフェクトもストライプを使用しているかと思ったら、円筒形のメッシュ+テクスチャで再現していて処理的にはこちらのほうが断然良い選択ですね。竜巻が白で淡泊な印象あるので、もう少し立体感が出るように着色すると、奥行き感が出るエフェクトになると思います。
最後のキメインパクトがちょっとあっさりしすぎかもしれません。フォースを抑えて、かつマスパーティクルなどを組み合わせて、飛散感を強く出して迫力アップなど、少し工夫できそうです。

L:

魔法陣の出現から剣の突き刺さりまで、テンポや動きの緩急は抜群です。魔法陣のマルチテクスチャアニメの明滅など細かい仕込みが全体的な絵の完成度を引き上げてますね。ビジュアル的には特に気になる点ありませんが、しいて言えばこだわりが強い為に部品点数が多いことでしょうか、抜き面積が大きく、各画面に対して大きな表示をしている部品が多いため、フィル負荷が高い印象あります。メッシュなどを使用して透過面積を減らしたり微妙な差の部品は1枚のテクスチャに統合したりしていけば多少は良くなると思います。
が、これはより実践的な話なので、仕事での経験が上がればすぐにできるようになると思います。